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2011-12-26

最近のお話 ” 秘湯ベスト5”#3

旅行会社のホームページでは、海の幸、山の幸、味、ボリューム大満足と書かれ、食べきれないほどのグルメ写真が並ぶ。それに最近は露天風呂付きお部屋がやたら目につくし見ている側をこれでもかと誘惑してくる。
私が選ぶ温泉宿の基準は、料理は気の利いた構成にほどほどの量とその地のオリジナルがあれば上等だと思っている。露天風呂付きお部屋などは論外として、過多なおもてなしも必要としない、素朴な気遣いで充分だ。そして交通の便と立地が悪いのが秘湯というもの。

私がまだサラリーマンの頃は、慰安旅行とか集団旅行には決まって山代、片山津、皆生の大箱ホテルだった。正直言ってこの温泉付きの大宴会なら”づぼらや”で充分だと思ったものだ。それ以来集団お付合い以外は二度と利用することはなかった。
高度成長の時代から温泉地は鉄筋コンクリートの大型化につけて宿泊客の奪い合いを続けてきた。このような時代背景から近年すこしずつ昨今の温泉ブームのせいもあって、置き忘れてきた本来の旅のしかた、温泉との接しかたが戻ろうとしている。時代の流れに取り残された山の小さな温泉宿こそ日本の原風景がある。私の選ぶ温泉宿もきっと旅人の心に添うと思う。

■黒川温泉”山河”  (熊本県阿蘇郡南小国町)

湯布院がずいぶん前にブレイクしたあとに、黒川温泉が脚光を浴びた。ちょっとアートな町並みにグルメやグッズも楽しめる温泉街の湯布院とは違って、この黒川温泉の周りは何もない。20数軒の宿があるが全ての宿が日本建築でそれぞれの個性を持つため何処に宿泊しても遜色ないが、そのなかで中心地から離れた”山河”は3000坪の敷地をじつに良くデザインしている。

秋田の鶴の湯に比較すると人工的な造作も少しは気になるが2つの露天風呂を含めて7つの風呂が敷地内の点在する。阿蘇の山間から湧き出る源泉は硫黄系で白濁、場所によって異なる泉質を使い分けしている。

朝のミーティングみたいだが熊大留学生のフランス人と染色家たち、三四十年前の良き時代のユース・ホステルみたいな触れ合いを思い出す。ロビー奥の談話室。

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