2012-05-05
日本三大和菓子 “山川”
20代後半サラリーマンの頃、住建デザイナーでからっきし酒が飲めない友人のお誘いで、松江の駅からバスに乗って山間にあるという管田庵まで行った。
バス停からが結構遠かった。初夏の日差しをさえぎる木立の山道が延々と続く、山道が終ると石畳の道がまた続く。相棒に文句言いながら、いい加減にうんざりした頃に辿り着く。松江藩主不昧公の指図で建てられたその茶室庵を訪れて、初めてその見事なビジョンを思い知る。喧騒からの隔離、山を登ることにより気持ちが切り替わること、それらを含めて菅田庵の潜んだ魅力だった。
屋根は入母屋造茅葺き、間取りは1畳分、中板入りという極小空間の茶室が複数。我々は松江市内が一望できる縁側で抹茶と“山川”をいただいた。
あれから30余年、松江の風流堂より届いた商品は、当時の庵で賞味したものと 少し形が違っていた。今ふうに合したのかどうか知らないが伝統の粋は継いで欲しい。
しかし、この“山川”は抹茶のための和菓子であって、和菓子のための煎茶という日常のパターンではやっぱり甘すぎた。落雁を頂戴する作法をおろそかにしていけないが、庶民ごとき手前がいちいち抹茶など点てられるはずがない。とにかく茶室を作ろう。
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