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2012-03-11

”震災一年”

戻りたいけど、戻れない。望みと現実そして未来、離れていまいそうな心をどうやって繋ぎ止めるのだろうか。確かなものが見えないなか被災した人々の苦悩は計り知れない。かっては阪神大震災を経験した自分たちだが、故郷を失うかも知れないという不安など持たなかった。そんな苦しみは想像できない。
これから、また何年も何十年も被災した東北の人たちをじっと見守っていくしかない。

ずいぶん前に観たドキュメンタリー映画”ナージャの村”を思い出す。チェルノブイリ事故のあと、政府からの立ち退き要請で地図から消えてしまったベラルーシュの小さな村のこと。社会から遮断され、放射能汚染されてはいるが美しい四季の移ろう村から離れられずに暮らす数家族のこと。
大地とは、生きることとは、豊かさとは。
映画の終わりは切実だった。ラストに老人がカメラに向かって言う”天国はいらない。故郷をかえして欲しい。”

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