『木馬座』スタート!
神戸100年映画祭の総合プロデューサーだった伊良子序(いらこはじめ)さんの知のオアシス『木馬座』がスタートします!
その昔、劇場のロビーにはサロンがあった。映画や音楽、芝居の余韻の中でみんなが自然に交流した。孤独な現代人が忘れかけている心のオアシスをもう一度芽生えさせたい。そんなささやかな願いをこめて、文化のたまり場「木馬座」がスタートします。
伊良子序(いらこ・はじめ=フリージャーナリスト)
vol.1 「デュラスと映画~あまりにフランス的な」
■日時 2018.8.29.水 午後2時〜5時
■場所 MOKUBA’S TAVERN
神戸市中央区北長狭通3丁目12-14ザ・ベガ・トアロード
078-391-2505
■料金 1,500円(ワンドリンク付)
■お話 伊良子序
第一回の鑑賞作品は、フランス映画の「雨のしのび逢い」。ヌーボーロマンの旗手、マルグリット・デュラスの小説「モデラート・カンタービレ」が原作の、静かな大人の恋愛映画を鑑賞し、デュラスが試みた文学と映像のコラボについて語る。
「雨のしのび逢い」
原作: マルグリット・デュラス 「モデラート・カンタービレ」
1960年フランス映画
監督ピーター・ブルック(英)
脚本マルグリット・デュラス
撮影アルマン・ティラール
音楽ディアベリのソナチネ
出演ジャンヌ・モロー (カンヌ映画祭主演女優賞)
ジャン=ポール・ベルモンド
フランス映画のヌーベルヴァーグと文学のヌーボーロマンは密接に関係していた。その橋渡し役をもっとも積極的に担ったのは女性作家で後に映画も監督したマルグリット・デュラスであった。「二十四時間の情事」や「かくも長き不在」など名作映画のダイアローグを書いたのもデュラスで、彼女は映像的なエクリチュール(文体)に強く惹かれていた。
この作品の原作となった小説「モデラート・カンタービレ」は音楽用語で「普通のはやさで歌うように」の意味。まさに物語の進行をそのまま表している。
そのデリケートなテンポを正確に捉えたティラールのカメラワークは秀逸。なお、フランスを代表する大スターのモローとベルモンドが共演したのは、意外なことにこの一作のみである。